10.

Festival Novas Frequências

Oi Futuro Ipanema、リオデジャネイロ、ブラジル
12月3日 - 12月8日

UnsoundやCTMのようなヨーロッパのエクスペリメンタルミュージックフェスティバルは、地理について考え直すことの重要性を提唱し続けている。ブラジルはリオデジャネイロという街の多様性を活かしたイベント、 Festival Novas Frequênciasにとっても、スペースとカルチャーを様々な方法でオーガナイズすることが鍵となる。同フェスティバルは世界的な枠組みの中で確かな立ち位置を築き上げており、異なる大陸の様々なアーティストたちを交流させ、そして新たな考え方を提案する。この原稿を執筆している現在、ラインナップは発表され始めたばかりだが、ブラジルのエクスペリメンタルシーン底部で活動するアーティストたちを絶えずサポートしてきたNovas Frequênciasは、William Basinskiのような世界各地の先鋭たちと彼らを繋ぐ役割を果たしている。

RA Pick: 日本人音楽家の大友良英が、Felipe Zenícola、Renato Godoyとタッグを組む。

09.

Positive Education

サン=テティエンヌ、フランス
11月9日 - 11月12日

Positive Educationとは、意味深なタイトルのように感じる。同フェスティバルは、リヨン郊外にあるサン=テティエンヌという小さな町に、他の大都市での同様のイベントよりももっとアドベンチャラスなエレクトロニックミュージックとデジタルアートの融合をもたらす。Regis、Ancient Methods、Vladimir Ivkovic、Tolouse Low Traxといったアクトの出演が決定している今年のプログラムは、クラブミュージックの端の端までを徹底的に探る内容となっている。昨年のフェスティバルのレビューの中で、執筆者であるBenjamine Cardeは、その特異な音楽と雰囲気以上に、Positive Educationは「このフランスの地で成熟しつつあるアンダーグラウンドシーンに光を当て、そこに深く根ざすコミュニティと仲間意識を見出した」と綴っている。今年はより一層、自ら掲げた「サンテを輝かせよう」という目標を達成する態勢が出来ているようだ。

RA Pick: こうしたイベントにおいては、RAポッドキャスターのZaltanが本領を発揮するはずなので乞うご期待。

08.

Polaris Festival 2017

Le Mouton Noir、ヴェルビエ、スイス
12月7日 - 12月10日

冬季の音楽フェスティバルを成功させるのはなかなか難しい。だが、スイス・ヴェルビエのスキーリゾートLe Mouton Noirを舞台に、計6ステージでお祭り騒ぎを繰り広げるPolarisほど、それに長けているイベントは数少ない。毎年12月初旬の3日間になると、数十組のハウス/テクノDJがアルプスの標高2000メートル以上にあるダンスフロアに集結する。2017年は、Derrick May、Derrick Carter、Virgo Four、そしてLarry Heardなど、シカゴとデトロイトの強力なレジェンドたちがラインナップされた。並んで、Seth Troxler、Nina Kraviz、RareshとPrasleaからなるPrasleshなど、現代の重要アーティストたちも登場。更にはその他の素晴らしいフェスティバルと同様、Polarisは地元出身のタレントたちにも光を当てるのを忘れておらず、今年はAndre Rozzo、Kalabrese、Mirko Loco、そしてもちろん、Lucianoが出演する。

RA Pick: デトロイトのバッドボーイOmar-SがPolaris初出演を果たす。

07.

Le Guess Who?

TivoliVredenburg、ユトレヒト、オランダ
11月9日 - 11月12日

ユトレヒトの Le Guess Who?では、長年に渡りたくさんの人たちが忘れられない瞬間を過ごしてきたが、その中でも特に傑出しているのががこのコメントだろう。「土曜日には持っていたタイムテーブルを捨てて、そこからは流れに身を任せた。」4日間に渡り開催される同フェスティバルは、音楽の探検と発見の温床であり、計20箇所のヴェニューに、150組以上に及ぶ様々なスタイルのアクトが出演する。その中核を成すのが、数組のアーティストが共同キュレーターとして招待される独特なイベントフォーマットだ。あなたがJames Holdenファンならば、彼自身がブッキングしたHieroglyphic Beingや、モロッコのグナワ音楽のスターMaâlem Houssam Guinia、アコーディオンのマエストロMario Batkovicといったアクトは見逃し厳禁だ。今年はその他にも、Grouper、Shabazz Palaces、そしてオランダ人パーカッショニストのHan Benninkといった面々がキュレーターを務める。

RA Pick: 現在ワールドツアー中のJohn Mausが、今回唯一のオランダ公演を行う。

06.

Mira

Fabra I Coats、バルセロナ、スペイン
11月9日 - 11月11日

今年で7年目を迎えるMiraは、もはや駆け出しのイベントではなく、アヴァンギャルドな音楽と大胆なクラブサウンド、そして“デジタルアート”として捉えられる様々なオーディオヴィジュアルワークを融合した、世界有数のアドベンチャラスなフェスティバルの1つへと成長した。工業施設の跡地を多目的カルチャースペースに改装したFabra I Coatsを会場とし、Vril、James Holden with Emptyset、 Visible Cloaks、更にはThe Bug vs. Dylan Carlsontheのアポカリプティックなサウンドといったダンスフロアとは一線を画したクラブアクトと、挑戦的なアートとの間の贅沢な中間地点を見出す。音楽以外のプログラムも強烈な内容となっており、中でも [ADULT SWIM] による360度スクリーンを使用したパフォーマンスは、「今後二度と体験することがないであろう6分間」になるという。興味をそそられましたか？私たちもです。

RA Pick: オープニングコンサートでの、Wolfgang VoigtによるGAS名義のライブは必見だ。

05.

Subsonic

リヴァーウッド・ダウンズ・マウンテン・リゾート、モンカーアイ、オーストラリア
12月1日 - 12月3日

のどかな環境と素晴らしいブッキングが魅力のSubsonicは、オーストラリアのフェスティバルシーンにおける重要な存在だ。会場となるリヴァーウッド・ダウンズ・マウンテン・リゾートは、シドニーから北上すること数時間の川沿いにあり、牧歌的な景色が広がっている。同イベントでは洗練されたダンスフロア・サウンドが繰り広げられ、今年はBaracやMaayan Nidamによる滑らかなミニマリズムや、Andrew WeatherallとSean JohnstonによるA Love From Outer Spaceの多様なスタイルなどを聴くことができる。スタート当初500人だったクラウドは今や5000人にまで膨れ上がり、彼らが作り上げるフレンドリーでレイドバックな雰囲気を体験すれば、同フェスティバルが何故大勢の参加者たちにとって特別な存在になっているのか理解できるはずだ。

RA Pick: Andrew Weatherallはオーストラリアのクラウドと強い繋がりがある。彼のソロセットもお見逃しなく。

04.

Club To Club

TBA、トリノ、イタリア
11月1日 - 11月7日

Club To Clubをフェスティバルという言葉だけで片付けることはできない。トリノ各地のユニークなロケーションにカッティングエッジなアクトを招聘する、毎年恒例の街全体での音楽フェアと言ったところだろうか。今年はその会場に、元刑務所に隣接した複合工業施設をアートスペースへと改装したばかりのOGR Torinが追加される。また、17世紀に建てられ、かつてはロイヤルファミリーの住まいだったPalace Of Venariaや、Club To Clubのヘッドクウォーターとなる巨大なウェアハウスLingottoも忘れてはいけない。過去数年間でも最高のラインナップと（Kraftwerkが8日間連続ギグを行う）、エキサイティングな新ロケーションの数々がある今年のClub To Clubは、11月のリストに入れておくべきだ。

RA Pick: 皆さんビッグネームに注目しがちだが、スコットランド出身の新鋭アーティストLanark Artefaxによる高精細サウンドも是非チェックしてみてほしい。

03.

Strawberry Fields

The Wildlands、タクムウォール、オーストラリア
11月16日 - 11月19日

今年のStrawberry Fieldsは、かなり積極的な行動に出た。「キャンピングフェスティバルへの参加は金のかかることだ」という理解の上で、低所得者を対象に低価格、場合によっては半額近くのチケットを販売したのだ。この動きは、"オーストラリアのブッシュドゥーフ（レイヴ）の原型”がオーディエンスたちにとって大きな意味を持つ理由を部分的に説明している。単なるブッキングが良いダンスミュージックフェスティバルというよりも、Strawberry Fieldsはそのコミュニティにおける誠実なメンバーであり、それが近年のオーストラリアのように窮地に立たされたシーンにとっては何よりも重要なことなのだ。それでもやはり、Strawberry Fieldsでの体験そのものは、最高のフェスティバルと言うのに有り余るくらい素晴らしい。4日間に渡るテント生活では、オーストラリアでも年間ベストのエレクトロニックミュージックの数々を聴くことができ、今年はAurora Halal、DJ Bone、Optimoといった面々のほか、国内からはMall Grab、CC:DISCO、Francis Inferno Orchestraの出演が決定している。

RA Pick: HuneeとSoichi Teradaが同じステージに登場する。

02.

Magnetic Fields

アルシザーマハール、ラジャスタン、インド
12月15日 - 12月17日

世界には印象的なフェスティバルの目的地が数多く存在する。その中の1つが、ラジャスタン州はジャイプールに位置する1世紀以上前に建てられた宮殿であり、現在は優雅なホテルとして営業しているアルシザーマハールだ。この壮大なロケーションこそが、近年急成長を見せるインドのエレクトロニックミュージックシーンにおいて、5年前から大きな注目を集めているイベント、Magnetic Fieldsの会場だ。今年のラインナップは過去最高レベルに強力となっており、Ben UFO、Four Tet、Actress、Jayda Gといったインターナショナルなアクトが、Sandunesのようなインドのシーンをリードするアーティストたちと共演する。だが、このショウの真のスターは、間違いなくアルシザーマハールそのものだろう。

RA Pick: Jayda Gの心地よいセレクションが、アルシザーマハールを大きく沸かせるはずだ。

01.

Mareh

クムルサティバ・ビーチ、バイーア、ブラジル
12月26日 - 1月2日

年越しを挟んだ数日間、ブラジルのビーチ沿いで聴くディスコ。詳細を聞かずとも、非常にそそられる誘いだ。ブラジル国外ではほぼ知られていなかった数日間に及ぶニューイヤーパーティーMarehが、過去数年間で瞬く間に世界的に注目される音楽フェスティバルへと成長した理由も、それで頷ける。例年通り、いわゆるビッグネームのヘッドライナーとは言えないが、今年も素晴らしいセレクター陣が砂浜のダンスフロアを音で彩る。フェスティバル常連のEric DuncanやTim Sweeneyのほか、Metro AreaのメンバーDarshan Jesrani、 International FeelのJosé Padilla、そしてチューリッヒのベテランディガーLexxといった面々が登場。あなたが南半球にいようが北半球にいようが、Marehは世界で最高の新年の迎え方の1つと言ってもいいだろう。

RA Pick: UKのレジェンドIdjut Boysがプレイする。

11月と12月に各地で開催されるフェスティバルリストをRAでチェックしよう。